魅了するチタンダイバーズ シチズン プロマスター NB6021-17E(中編)

前回のつづきです。

shiratsume.hatenablog.com

 

開封レビュー



汎用箱のようです。布のような紙張りでいい感じですね。開封したらそのまま奥深くに仕舞われてしまうので箱自体はどうでもいいのです。しかし新品時計はこの箱を開ける瞬間が一番ワクワクドキドキしますから、その演出のためにそれなりの箱が必要です。ブリスターパックではワクワクしませんよね。

手に取った第一印象



散々ネット写真を見ましたから新鮮味はありませんが、思い通りの第一印象で安心しました。久しぶりの新品時計なのでテンションが上がります。



前回にも書きましたがオリジナルのチャレンジダイバーに思い入れはありません。オリジナルの実物を手に取ったこともありません。しかしこの復刻チャレンジダイバーの雰囲気は中々良いです。

ディテールを比較するとサブマリーナ模倣に違いないのですが、実物はそこまでサブマリーナっぽくないのです。やはりインデックス形状とベゼル形状、各部品のバランスの取り方のせいでしょうね。上手くまとまっています。

仕上げ・質感



ケースの仕上げも悪くないし、ネット上で言われてるほど安っぽくはありません。おそらく『アルミ製のベゼルインサート』と『エッジのだるい回転ベゼル』だからでしょう。最近のダイバーズのベゼルインサートはセラミック製が多いですから、昔からあるアルミ製がチープに感じるのかな。私はこのクラシカルな感じが良いと思うのです。もう少し艶を抑えたほうが好みですが、これはオリジナルに寄せているのだと思います。
エッジのだるい回転ベゼルについては後述します。

感じ方には個人差あると思います。私は高級時計には縁がないので目が肥えてないのでしょう。比較的チープ感には寛容なのかもしれません。私はこの時計で一番重要なのは道具として満たされることなので高級感はいらないかな。ここら辺の嗜好を加味してください。

チタンケースのガンメタリック色が大好きです。特別な材料でつくられた機械にトキメキます。実売価格が同程度の他メーカー時計と比べても遜色ない質感ですよ。



最近はどのメーカーもレーザー刻印になってしまったので味気ないですね。勝手に開けちゃダメよと書いていますが、よく見ると爪溝が5箇所なので専用工具が必要です。

日本製ムーブメント・組み立て中国とのこと。私はいくつも時計を購入してきて MADE IN JAPAN 信仰はとうにありません。調子悪い仕上げ悪い日本製もあるし、調子良い仕上げ良い中国製もたくさん見て触ってきたからです。管理さえしっかりしていればどこで製造しても変わりません。

愛国心、日本経済全体のことを考えると国産のほうが良いのは理解できますが、それとモノの出来は分けて考えたほうが良いでしょう。

早速装着してみる



とにかく軽いですね。ダイバーズウォッチとは思えません。もちろん重さを全く感じないわけではありません。だいたいウレタン外装のG-SHOCKと同じ感覚です。
ヘアライン仕上げのチタン外装はしっとりとして手触りがよいです。夏場汗をかいてもベタベタと不快になりにくいです。ただし手垢などがついたら取れにくいのが難点ですね。



カタログにはウレタンベルトと書いてますが、とても柔らかく手触りもシリコンっぽいです(比較するとシリコンよりはコシが強いです)だからとても付け心地が良いのです。ベルトは変えるだろうなあと思ってましたが、見た目もクラシカルで純正最高かもしれません。

尾錠もチタンです。カッコいいっす!

 



セイコーのダイバーズは遊環が1個なのですが、シチズンは普通の普通の革ベルトと同じように2個です。内側サイズもキツめなのでベルトが通しにくいです。ベルトを密着させながら遊環に通すとスムーズに入ります。少しコツが必要ですが、慣れると問題ありません。2個あるとベルトがピッタリと固定できます。まあダイバーズは1個でも良いと思いますけどね。

気になるところ



無反射コーティングはされてないようです。サファイアガラスは屈折率が高く、
屈折率が大きいほど表面反射率も高くなるので、文字盤が見にくいことがあります。ダイバーズウォッチなので内側だけでもコーティングしてもらえると嬉しかったですね。コストの関係で省略されたのでしょうけど。

citizen.jp




多くの方が指摘しているエッジのだるい回転ベゼルが滑ること。これはダイバーズとして致命的だと思う。

jbpress.ismedia.jp

上記の記事では、エッジのだるさを甘い雰囲気と表現しています。ものは言いようですね。ケース側面の曲面のことなら良いのです。しかし回転ベゼルのギザギザにはベゼルを回すときの滑り止めとしての機能があります。エッジを立たせることで指(グローブ)にグリップするわけです。


ヤフオク落札結果(オークフリー)から転載
https://aucfree.com/items/n357477187

上写真のようにオリジナルチャレンジダイバーの回転ベゼルのエッジは、ビンビンに立っています。これが本来の姿です。今回の復刻では研磨過程で丸くなってしまったのです。現在の安価なケース研磨はほとんどがバレル研磨だと思います。これは昔のように職人が手を使って仕上げをするのではなく、回転槽に研磨剤とケースを入れてぐるぐると回転させます。もちろんコストダウンのためですが、加減や仕上げ方で機械加工したエッジは丸くなってしまいます。

オリジナルと同様のポリッシュ仕上げにこだわるのではなく、ヘアライン仕上げに変更してでもギザギザ部のエッジを残すべきでした。

確かにほとんどユーザーが陸ダイバーですから回転ベセルは使いませんし、今どきのダイバーはこの時計をメインには使わないでしょう。しかしダイバーズウォッチとして販売する以上、スムーズに回転ベゼルが回せるのは大事なことです。

この部分はオリジナルよりも確実にタイカしていますね。退化であり、大過



回転ベゼルのタッチもあまり良くありません。まだ分解していないので構造はわかりませんが、回転ベゼルが滑るので上から押し付けて回すようになります。そうするとベゼル裏が擦れて嫌な感触が伝わってきます。



上記写真はセイコーダイバーズ(ボーイ)の回転ベゼル部品です。回転ベゼルの溝と板バネとOリングだけのシンプルな構造です。しかしガタもなく上から抑えても擦れることもなくスムーズに回転します。クリック数も120で小気味よい音と感触があります。

想像ですがパテントの関係もあり同じ構造にはできないのかもしれません。しかしこういうカタログでは分からない部分こそ長年のノウハウがものを言います。セイコーが築き上げたダイバーズブランドには多くの技術が土台にあるのです。


ヤフオク落札結果(オークフリー)から転載(下写真)
https://aucfree.com/items/n357477187

オリジナルのチャレンジダイバーは所有していないので、正確な径はわかりませんが写真で比較してもリューズが小さくなってます。これもリューズ操作がしにくいので、オリジナルくらい大きかったぼうが良いですね。ただしこれはムーブメントが薄くなり、ケースもそれに伴って薄くしたからです。一長一短ですね。メーカーはケースを薄くすることを選んだだけです。操作しているときはリューズが大きいほうが良いけど、使っている最中はケースが薄いほうが良いですよね。

しばらく連続使用してみる

私のMIYOTA 9051ムーブメントは、おおむね+6~7秒/日くらいです。もちろん個体差があるので一概には言えませんが、ネット上での報告を見ると皆さん精度の良さに満足しているようです。メーカー公表値は−10~+20秒/日です。

同じ価格帯のセイコー6R**は、メーカー公表値は−15~+25秒/日なのですが精度悪い個体が多い印象です。個体差も大きくネットでの評判もいまいちです。

MIYOTA 9051は8振動だから精度が高く安定するのでしょうね。まあ機械式時計なんて日差を神経質に気にしても仕方ありませんが、時刻がズレないムーブメントは使っていて気持ちいいことに間違いありません。私のMIYOTAに対する株は急上昇中であります。

ムーブメントが薄いので時計が薄くつくれるのもメリットですね。ローター音が大きくて気になるという話も聞きますが、手で振ってローターをぐるぐる回せば確かにシャーシャーとローター音はしますけど、実際に装着して巻き上げているときは音なんてしません。私の耳が悪いのかな?ともかくムーブメントに関しては文句がありません100点!!


長くなってきたので今回はここまで。
次回は私のスタンダードダイバーズであるセイコー ボーイと比較考察してみます。
次回完結 乞うご期待。