魅了するチタンダイバーズ シチズン プロマスター NB6021-17E(前編)

復刻チャレンジダイバー
9051-S129010

チャレンジダイバーの復刻

citizen.jp

今年の3月にシチズン チャレンジダイバーが復刻されると情報が入りました。正直シチズンのダイバーズウォッチには思い入れはありません。しかしスペックが心に刺さりました。MIYOTA9051搭載、41mm径・12.3mm厚スーパーチタニウムケース、ISO規格200mダイバーズ、定価96800円!これは凄い。

そもそもチタンケースのダイバーズは数少ないですが、41mm径とダイバーズとしては小ぶりなサイズ。おそらく現行モデルで他に該当するモデルがありません。 Steinhart Ocean One くらいかな。でもこれチタンの割に重いのです。 

www.steinhartwatches.de

チューダーには42mm、39mmチタンダイバーズがありますけど・・・貧乏サラリーマンには縁のない時計ですね。わはは。

www.tudorwatch.com

シチズンのチタン加工技術は世界一と言っても過言ではありません。いやが上にも期待が高まります。セイコーのように定価縛りはなく従来通りの売り方でしょうから定価の7~8掛けと予想できます。そうなれば68000円程になる訳です。おおっー!これなら貧乏サラリーマンでもなんとか買えます。この日から手持ちの時計を売りながら資金をつくり始めたのです。

予約開始

2022/7/27 全国の時計販売店シチズン公式WEBサイトで予約開始されました。もう買うことは決まっていたので、すこし資金が足りませんでしたがヨドバシカメラで予約しました。ヨドバシでは7掛け販売で10%のポイントがつくので実質61000円です。黒色は確保本数が少なかったようで即日完売してしまいました。他の大型店舗でも黒色は数日のうちに完売しました。この時点では転売屋が動いたと思ってましたが結果的には初期ロット数が少なかっただけでした。それだけメーカーの想定よりもマニアの注目度が高かったのです。

発売開始

2022/8/19の発売日は、荷物の到着が待ち遠しかったです。
店舗の当日販売分は青色のみだったようです。黒色はメーカー在庫もありませんでした。

懸念していた転売はほとんど発生しませんでした。発売後2週間でもネット取引は数件のようです。転売屋が発売情報を知らなかったのか?売れないと見切っていたのか?結果的に定価以上で売れてないので転売商品としては美味しくないですね。
単純に欲しい人数が初期ロット数を上回っただけでした。新しいシチズンの時計はまずプレミア価格にはならないようですね。限定ではありませんから次期ロットが入荷したら欲しい人はいつでも買える状態になると思います。



レビューの前にオリジナルチャレンジダイバーを少し勉強してみます。

オリジナルチャレンジダイバーについて

シチズンウォッチ商品カタログ 1977年-6 から転載

1977年に発売されました。当時の価格は22,000円、大卒初任給は10万円でしたから、現在だと40,000円くらいでしょうか。時計がたくさん売れた時代で、国内生産量も急上昇していました。
1969年に登場したクオーツ時計は毎年コストダウンされていましたが、まだまだ機械式よりも高価でした。上記のクオーツプロフェッショナルダイバーは当時の価格80,000円也。

ライバルのセイコーはサードダイバー(6306-7000)を25,000円で販売していました。


セイコーウォッチカタログ 77年vol.2 から転載


シチズンウォッチ商品カタログ 1979年-1 から転載

カタログの構成もそっくりですね。

デザイン

誰が見ても当時のロレックス サブマリーナの影響をかなり受けています。意匠権については詳しくありませんが、当時は人気モデルを模倣するのが大手メーカーでも当たり前でした。セイコー・オリエントにも模倣モデルがたくさんあります。

サブマリーナと比較してみると、3針(ベンツ針)、文字盤外銀枠、ベゼルインサートの文字・メモリなどが酷似しています。
インデックス形状とケース形状を変えてオリジナル感を出してますが、全体の雰囲気がサブマリーナに見えることに意味がありました。当時は他の舶来メーカー(オメガなど)もベンツ針を普通に使ってましたからダイバーズの定番だったのだと思います。

現在のマイクロブランドのオマージュ時計とよく似ています。現在のオマージュは意匠権の切れた時計を忠実に模倣します。オリジナルが希少で手に入らなかったり、高騰しすぎて買えないモデルのコピーをマニアのために販売しています。

現在はメーカーのイメージもありますし、意匠権が厳格になっているために昔のようなあからさまな模倣はなくなりました。しかし国内webサイトには掲載されない海外モデルではいまだに模倣モデルがあったりします。

私は模倣デザインには実がないと考えます。ロレックス模倣のチャレンジダイバーの復刻ですから、デザイン的にあまり好みではありませんが、オーソドックスなダイバーズとしてバランスよくまとまっていると思います。

シチズンの時計には歴史がない(短い)ことが多いです。デザインに流れというか一貫性・独自性がありません。チャレンジダイバーの復刻されたモデルの前モデルはこれです。


シチズンウォッチ商品カタログ 1974年-12 から転載

チャレンジタイマーから派生したモデルで、内蔵回転ベセルがついただけでダイバーと呼んでいました。同じチャレンジダイバーという名称ですが、全く異なるデザインです。そこに繋がりや継続進化はありません。

本家サブマリーナやセイコーのダイバーズにはデザインに独自性があり長年熟成させてきた歴史があります。だから多くのファンがいて愛されているのです。シチズンのモデル名称を言っても姿が浮かぶモデルは少ないでしょう。マニアの心に残らないのは、こういったところにも原因があると思うのです。

中古相場

状態の良いモノは概ね10万円くらいになるようです。程度が悪くても3~4万円になりますから、今回の復刻はマニアにとっても嬉しいニュースだったでしょう。もちろんオリジナルの価値もありますが、選択肢が増えることは良いと思います。

 

長くなってきたので今回はここまで。
レビューは次回です。
乞うご期待。