忠実なる初代5スポーツ復刻 セイコー 5スポーツ SBSA223(後編)

前回のつづきです。

shiratsume.hatenablog.com

いざ開封



公式WEBサイトにも記載があるように、専用の箱に納められています。オリジナルの箱デザインとは異なるますが、演出としてはテンションも上がるので良いと思います。ただ箱が固くて開けにくいです。もう出し入れすることはないからよいのですけどね。また時刻は仕方ないけど、せめて回転ベゼルは定位置(ポッチを12時)にしてくれると気持ちいいと思います。



タグと説明書はいつものやつです。



ベルトは割りピン式なので、ダイソーで300円で売っているネジ式の簡易交換工具でコマを詰めることはできます。私は腕周り165mmで、3コマづつ計6コマ詰めました。

 

第一印象



オリジナルを手にしたことはありませんが、5スポーツの割に丁寧につくられて仕上げも良いです。5万円の時計ですから当たり前なのですが、いわゆる逆輸入5のようなチープな感じは全くありません。



実物もイメージ通りカッコいいですね。もうこれだけで買って良かったと思います。専用部品が多くかなり気合入れて作られていることが伝わってきます。

 

質感・仕上げ



本体・ベルトともポリッシュは裏蓋と側面のみで後はヘアライン仕上げです。自動機械仕上げでもメリハリがつけやすく、エッジもだれにくいから全体的にシャープな印象です。特にケース側面の稜線、回転ベゼルの角がビシッと加工されているのが効いています。



回転ベゼルインサートはアルミ板に印刷だと思われますが、マット印刷でチープ感はありません。ここら辺のつくりはさすがセイコーですね。12時の夜光ポッチも別部品が嵌め込まれ一手間掛けられています。



文字盤の印刷もセイコークオリティなので精密で滲みなく美しいです。植字インデックスには夜光が全面塗られていますが、角部にポリッシュ面を残しているのでキラキラと輝いてます。こういう細やかな仕上げが全体のクオリティを上げるのですね。オリジナルよりも進化している部分だと思います。

針は特筆することはありませんが、オリジナルを忠実に再現しています。この頃は分針・秒針ともに目盛りに重なる長さなのが良いですね。時刻が読みやすいです。



裏蓋も忠実に再現されています。

【参考】オリジナル 6106-8120
ヤフオク落札結果から転載
https://page.auctions.yahoo.co.jp/jp/auction/o1087107632

数年前からセイコーの裏蓋はレーザー刻印に変わりました。今回の復刻はわざわざオリジナルと同じ昔ながらの刻印を採用しています。デザインもできる限り踏襲しています。こだわってますね。
だたしLIMITED EDITION と シリアルナンバーは外周にレーザー刻印されています。




ベルトはオリジナルからデザインが変更されています。

【参考】オリジナル 6106-8120
オークフリー(ヤフオク落札結果)から転載
https://aucfree.com/items/e258106582


オークフリー(ヤフオク落札結果)から転載
https://aucfree.com/items/f455294104

オリジナルはコマ幅を変えてスリットが入った凝ったデザインです。これを再現するのはコスト的に難しかったのでしょう。またオリジナルはいわゆる巻きブレスですが、復刻では無垢でつくられています。

板巻き構造だと中コマを中空にできるので軽くつくることができます。その代わり質感が落ちます。小口に巻いた部分が見えますし、シャラシャラとした音と感触が安っぽく感じます。私も無垢のほうが良いモノだと思っていましたが、最近は巻きブレスの良さも分かってきました。少し前に売られていたジウジアーロデザインの復刻時計にはオリジナルに忠実な巻きブレスがついていましたが、これが実に良かったのです。薄くて軽くてつけ心地も良い。薄いので小口の処理も気になりません。今回無垢が採用されたのは、おそらく限定品のような少量生産には向かないのでしょうね。



この無垢ベルトはあまり可動しません。可動域を増やすと隙間も大きくなって一体感が損なわれるからだと思います。それでも一コマが小さく可動部が多いので腕へのフィット感は悪くありません。



無垢ベルトで厚さもある(約3mm)ので、結構重いです。6コマ外しで重量は68gもあります。本体が66gなのでベルトのほうが重いのです。合計で134gですからウレタンベルトのダイバーズウォッチよりも重いのです。

装着して使用してみる



重量バランスが良いのか、手に持ったときほど重さを感じません。普段ダイバーズウォッチなどの大きな時計を使わない人には重いと感じるでしょう。



オリジナルのファイブスポーツが発売された頃は、リューズは小さく埋め込むことがシリーズのお約束でした。自動巻きなので毎日同じ時計を使えば、2・4・6・9・11月に日付を調整するだけで、他はリューズを触ることはなく使い続けることができるという理屈です。とは言え機械式ですから誤差修正も必要ですけどね。このリューズですからオリジナルには手巻き機能は付いてません。

復刻のムーブメントは4R36ですから、手巻き機能が付いてますが埋め込まれたリューズを巻くのは困難です。4Rのローター巻き上げは優秀なので手巻きが使えなくても別に問題はありません。止まっていても数回振るだけで起動します。

カレンダーは、2カ国言語切り替えができるので、私は日本語にします。カレンダー窓があると文字盤の美しさは損なわれますが、確かにカレンダーは便利なのですよね。それにセイコーファイブの5大売り文句の1つがデイデイト表示ですから無くすわけにはいきません。

私の個体は日差+7~8秒でした。4Rとしては当たり個体でしょう。4R・6Rは外れを引く可能性も割りとあります。(メーカー許容誤差は日差+45秒~-35秒)



オリジナルと同仕様なので仕方ありませんが、回転ベゼルにラチェット機構がないので、なんとも締まりません。パッキンゴムの摩擦のみで固定されているので、回すときヌルヌルとした感触しかありません。ダイバーズ時計のようにカチカチと節度ある動きにして欲しかったですね。まあ回転ベセルを使う機会は無いのですけど、いつの間にか動いているときがあります。



夜光はルミブライト(根本特殊化学 N夜光)なので、少ない時間でも非常に強い光を貯めることができます。やっぱりいざというとき夜光は便利だよね。一晩中は無理だけど数時間はボーッと光っているから暗闇でも時刻が分かるのです。

 



ベルトが重いので、中華製のトロピック風ベルトを購入・交換してみました。利用したことのなかったAliExpress・ALIBABAを試してみるためでもあります。送料込みで1140円だったので期待してませんでしたが、製品は悪くありませんでした。シリコン製と書いてるだけあって柔らかく付け心地は良いです。



しかしこのベルトは細かい長さが調整できず、かなり緩めにしなければなりませんでした。そうすると重い本体が腕を中心にクルクルと回ってしまいます。重量バランスも良くないためか重さを感じてしまいます。
うーん残念。これば使えないなあ。

手持ちのダイバーズ用のシリコン・ウレタンベルトも色々試したのですが、この時計はラグの懐が浅いので、分厚いダイバーズ用のベルトはつけることができないのです。

 

やっぱりカッコいいね

購入してから平日は毎日使っています。ブログを書くためでもありますが、なんだかんだ言いながらもカッコいいからですね。ウレタンベルトに変えて夏っぽくカジュアルに使いたいけど、結局純正ステンレスベルトが今のところ一番良いかな。スーツには厳しいかもしれませんが、どんな格好にも合わせやすいデザインだと思います。

この価格帯では厳しいのかもしれませんが、サファイヤガラスや無反射コーティングをつけて欲しかったなあ。高価格帯との差別化もあるから難しいのでしょうね。微細ですけど早速ハードレックス風防にキズをつけてしまいました(泣)凸ガラスなので当てやすいのです。また凸ガラスは反射で文字盤が見えにくい角度があります。
出来の良い社外品が出たら交換するかもしれません。


限定品なので、すでに正規販売在庫はメーカーにもありません。これから手に入れるには転売屋から買うか、中古が出てくるのを待つしかありません。良い時計ですけど定価以上で買う時計ではないと思います。
わざわざ専用の新規ケースを製造していますから、セイコーは必ずカラーバリエーション販売をするはずです。これまで販売されなかったことがありません。だから欲しい人は焦って転売屋から高く買わずに、しばらく待って欲しいです。どんなカラーが出てくるかは分かりませんが、必ず定価で買えるチャンスが来ますよ。


----- 諸元 -----

・ムーブメント
キャリバーNo. 4R36(24石)
機械式 自動巻き(ハック付き)

・外装
ステンレス
ポリッシュ/ヘアライン仕上げ
ステンレススクリューバック ポリッシュ仕上げ
カーブハードレックス風防

・ベルト
ステンレス
ヘアライン仕上げ

・サイズ
ケース径 39.2mm(リューズ含まず)
全長(ラグ端-端)43.1mm
厚さ 12.95mm (カーブ風防中心)
ラグ幅 20mm

・重さ
本体のみ 66.0g
ステンレスベルト 68g (6コマ外し)
合計 134.0g