前回のつづき
仕様違いの比較
カラー
文字盤:オリーブ(SNX425)、黒(SNX427)、ベージュ(SNX431)、紺(SNX429)の4色。
針 :ルミブライト夜光入り白 (ベージュ文字盤のみ黒)
紺文字盤の内側数字(13~24時)は赤です。この仕様はセイコーの他のモデルも同じことが多い。なぜか紺のみ赤文字。謎です。
ベルト
上記のそれぞれの色にナイロンベルトとステンレスベルトが用意されている。
ただし、ベージュはナイロンベルトのみ。紺はステンレスベルトのみです。
【参考】Mr.Shop時計屋 webサイト
セイコー MILITARY TYPE - Archives(アーカイブ) -
セイコー MILITARY Mr.Shop時計屋さん
統計をとったわけではありませんが、数本購入してみて、紺があまり出てこない印象です。レアな時計ではないので、待っていれば出てきますけど他の色に比べて少ない感じです。ステンレスベルトモデルしか選べなかったからかもしれません。
前期・後期
私が高校生になった頃からオートバイ雑誌を毎月読んでいて、巻末広告にこの時計がよく掲載されていた記憶がある。また時計収集を始めた2012年頃はもうすでに絶版になっていた。私が所有する個体で1991、2007年式があるので、販売期間は、1990~2010年頃だと推測している。(推測根拠は後述)
海外専用モデルなので国内カタログに掲載されていない。今のところ正確な販売期間を確かめる術がないのです。知っている方がおられたら教えてください。
・裏蓋の違い
左側:前期型 右側:後期型
セイコー5は、2000年頃に裏蓋がシースルーに変更される。偽造防止が目的です。当時は今のようにインターネットが発達してなく、セイコー5の偽物はほとんど日本には出回っていませんでした。セイコー5は海外モデルですが、国内でも売られており非常に安価(6000円程度)でした。リスクを負ってまで偽物を輸入するには利益が少なすぎたのでしょう。
当時の偽物を所有している方がアップされた写真を見たことがあるが、ムーブメントが7009とかの旧型だったり、違う機械が入っていた。現在のように外販用ムーブメントが格安で出回ってなかったのです。だからシースルーの效果があったのでしょう。
ただ初期のシースルー裏蓋は分厚く、通常のステンレス裏蓋よりも1.4mmも厚いのです。たった1.4mmと思われるかもしれませんが、実際にはかなり付け心地が違います。薄いステンレス裏蓋のほうが圧倒的に付け心地が良いです。またシースルーのガラスは汗を逃しにくく夏場はヌルヌルと気持ちよくありません。よほど美しいムーブメントなら常に鑑賞したくなりますが、7S26は見て楽しむムーブメントではありません。
便宜的に、ステンレス裏蓋のモデルを前期型、シースルー裏蓋モデルを後期型と呼称します。
ちなみに前期型は、風防ガラス裏面に偽造防止の刻印が入っていました。(シースルー採用後は廃止)真正面からはほぼ見えないけど、斜めからみるとSEIKOロゴと5盾マークが浮かびます。
・裏蓋以外の前期・後期の違い
ムーブメント
前期型
後期型
前期型:7S26A、後期型:7S26B
刻印有る無しとか細かい違いもあるけど、一番違うのはローターの大きさ。シースルーになったときの見栄えを考えたのでしょうか。
文字盤
左側:前期型 右側:後期型
文字盤デザインの変更はありませんが、文字盤下部の品番が違います。
前期型:7S26-1684 R 2 、後期型:7S26-1684 TG 2
何が違うのか分からないけど、前期後期の中身を変えたり、ニコイチしたりすると、バレてしまいます。まあチェックする人は私くらいでしょうけど(笑)
ケース
左側:前期型 右側:後期型
私の所有する個体8本を比較すると、どうも後期型のケースの方がエッジが立ってシャープなのです。工場・金型・仕上げ方法・・・何が変わったのか分かりませんが、とにかく見比べると違います。サイドラインの稜線が顕著です。
・さらなる違い
後期型のシースルー裏蓋のシリアルナンバーの位置が変わります。変更時期は分かりませんが、2004~2007年の間ということです。
最初は、裏蓋ガラスにプリントしていましたが、見にくいし触ると薄くなるのでしょう。私の個体も非常に読みにくくなっています。変更後は裏蓋側面に刻印されるようになりました。
・さらにさらに・・・考察
前期型のステンレス裏蓋を比較していると、全体のカタチが微妙に違うことに気づきました。
写真だと分かりにくいけど、上2つのほうが角が丸く、下2つのほうが角のエッジが立っています。ヘアラインの仕上げも、上2つは荒く、下2つは細かい。
刻印をよく見ると、WATER RESISTANT の後の記号が、上2つは WP、下2つは KY です。どこで読んだか忘れてしまったのですが、これは確か加工工場を現す記号だったはず。他にも KG とかもあったような・・・うろ覚えなので、スルーして下さいね。大事なのは工場の区別ではありません。
シースルー裏蓋は、すべて KY ですから、WP → KY になったと考えるのが自然です。
そう考えると前期型は、1991年6月には製造されていて、2000年8月までは製造されていたと考えることができるのです。これが製造期間の根拠です。
【参考】セイコー・シチズンのシリアルナンバーの読み方oldjapanwatch.blog.fc2.com
もっと精度を上げようと思えば、ネット上にアップされている個体の写真を集めて考察すれば良いでしょう。面倒くさいのでやってません(笑)親切な方が販売期間を教えてくれたら終わる話だからです(他力本願)わははは。
同じ時計を複数集める意味
コレクター魂に火がついて、フルコンプしたいという気持ちは時計好きな人には理解できるでしょう。私も色違いが欲しくなることがよくあります。
今回は好きな時計を、より理解を深めるために資料として集めたのです。もちろん使えるお金が無尽蔵にあるわけではありませんし、欲しい時計を欲しいだけ買っていたら、いくら小さいモノだからと言ってもすぐに保管場所も無くなってしまいます。
複数個集めることで、比較することができます。
前ブログでも同じようなことをしてますので、興味があれば読んでみて下さい。一般ウケするネタではありませんけどね。
欲しくなったら
もう絶版なので新品は売ってません。中古時計店・ヤフオク・メルカリなどで手に入れることができます。それなりに人気がありますが、かなり売れた時計なので残存数も多く、競り合って高騰することはありません。
未使用品もたまに出てくることがあります。未使用品はマニアが欲しがる(私も欲しい・・・)ので15000円を超えることがあります。しかし中古品なら程度が良いモノでも7000~10000円、並品で5000円前後、ジャンクで3000円程度といったところです。これらはネット価格なので、実店舗購入だともう少し高いかもしれません。
まだたくさん残っていますから、焦らずに入札していればいずれ落札できます。たまに検索にかかりにくい掘り出し物がありますが、だいたい相場通りに収束します。一時期カスタム部品取りとして乱獲されたこともありましたが、今は落ち着いたように思います。相場も安定しています。
7S26は、非常に丈夫なムーブメントです。修理もできますし、部品もほぼ無限にあると言っていいでしょう。維持するのも楽な機械式時計です。ひとつあればビジネスにもカジュアルにも便利に使える時計ですよ。