経年変化について考える


長く使えるモノは経年変化を愉しめる。
以前から同じようなことを考え続けている。

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エイジングとは

エイジングなんて言葉がある。精密機械や電気製品を安定するまで動作させることを意味するが、木や革などの素材が色焼けしたりする変化もエイジングと言う。

エイジング加工とは、塗装や研磨など人工的に加工することで、時を重ねて経年変化したように見せること。市民権を得られた加工は、ジーンズのダメージ加工でしょう。もはやリジットやワンウォッシュを買うほうが少数派だと思う。

鉄や木に錆・汚れ・色褪せなどの古色を塗装することも一部では需要があるらしい。時計も少し前から、夜光を焼けた色に塗装することが流行っている。トリチウムが使用されていた頃の夜光は、薄茶に焼けるからです。根本特殊化学が開発したN夜光(ルミノーバ)は、ほとんど劣化しないから色の変化はないけど、大手メーカーも最初から古色に塗装している。

時計のケースのエイジング加工もあるのかなと探してみたら、昨年発売されたGショック GMW-B5000V はブラックIP処理の後、表面の一部を剥がして使い込んだ感じに仕上げているようです。

流石に時計の風防のエイジング加工はありませんね。視認性が落ちますから。

経年変化の感じ方

皆が欲しがるロレックスは、黒文字盤が茶色に色褪せ劣化した文字盤は、トロピカルダイアルといって珍重され、キレイに変化(ムラ無く)した個体にはプレミアムが付くようです。ヒビ割れた文字盤はスパイダーダイアルらしいです。モノは言いようですね。ただの劣化なのに価値がつく不思議な世界です。だからトロピカルダイアルを模した文字盤が出てきたりします。

1980年代以降の国産時計では、そんなに劣化した文字盤はほとんど見かけませんから、高級だから長持ちする素材を使ってるわけではないようです。


中古、それもジャンクを漁っていると、天然エイジング個体なんていくらでもあります。ガラ箱に無造作に突っ込まれた個体なんで、時計同士で擦れ合い強制エイジングされているわけです。風防もすりガラスになってます。

それをできるだけエッジを残すように必死にキズ消しして、風防を磨いたり新品に交換したりして、レストアするわけです。

新品に戻す努力をしてる人もいれば、雰囲気のある中古に加工する人もいるのです。はたまた経年変化に付加価値をつける人もいるわけです。

経年変化の感じ方や考え方も人それぞれでしょう。

経年変化とのお付き合い

新品のまま全く劣化させないのは不可能ですが、デッドストック・未使用状態を維持される人がいます。逆にジャンク品を買い漁ったり、傷なんか気にせずに使い込む人もいます。

私は、あえてエイジング加工はしません。時計を購入したときの程度によりレストアすることもありますが、最近は多少の傷はその時計の歴史として残すこともします。レストアが面倒くさいとも言う(笑)

新品時計の良いところは、経年変化は全て自分の歴史だということ。自分が使い込んでついた傷は悪くない。もちろん最初の一撃は凹むけどね。

他の道具も同じかな。わざわざ劣化させることはないけど、大事に使い込んで経年変化も愉しんでいる。やっぱりエイジング加工されたモノと長年自分で使い込んだモノは違うと思う。愛着というバイアスがかかるのは否定できないけど、時間と記憶(思い出)を操作することはできないと思うのだ。

エイジング加工はファッションですから、自由です。良し悪しではなく好き嫌いの問題です。私はエイジング加工したジーンズは履くけど、着色された夜光には惹かれないだけ。時代とともに自分の考え方も変わっていくし、新しい技術も生まれてくるでしょう。