悩むステンレスベルト
先日購入した、セイコー5 DX には純正ステンレスベルトが付いてませんでした。
ちなみに純正のステンレスベルトはコレです。
写真は1969年セイコーカタログvol.2からの転載です
無垢ではなく巻きですが、結構凝ったつくりのベルトです。この年代の時計を安く手に入れるためには、純正ベルトがついてない個体が多いので仕方ありません。
とりあえず私のガラ箱から使えそうなベルトを探してみます。
何に付いていたか分かりませんが、シンプルな5連ベルト。純正に似たデザインなので似合いますが、残念ながら弓管の幅が19mmでした。この5DXのラグ幅は18mmです。
LM用の無垢7連ベルトです。これもカッコいい。弓管幅も18mmですし奥行もピッタリ。これで良いんじゃない。
弓管のカーブが少し緩いですね。ある程度は調整できますが、隙間をピッタリにはできません。大幅に加工すればなんとでもなりますけど、この頃のセイコー純正ベルトは弓管先端が折り曲げ加工がしてあるので、簡単に削るわけにはいかないのです。
うーん。
仕方がない、他の時計に使おうと思っていた虎の子(おおげさ)を出そう。
18mm、19mmは欠品のようですが、ebayで検索すれば大量に出品されています。
ebayで買えば1300円くらいです。このクオリティの無垢シンプル7連ベルトが手に入るのですからありがたいですね。
ステンレスベルトの装着
とりあえずポン付け。指で弓管を潰してラグ厚に合わせていますが、無加工で取り付け。
無垢ベルトで横から見ると少し分厚い感じはしますが。オーソドックスなデザインなのでどんな時計にも合わせやすい。しかし弓管も指で潰しただけなので、ラグ面と合っていません。
弓管の加工誤差やケースの状態もありますが、上側の弓管はポン付けでもカーブの合わせは上出来ですね。下側はどうも弓管の角が丸いのとケースの状態があまり良くない感じです。
カメラで拡大して粗探ししていますが、この状態でも問題なく使うことができます。今回はあまり時間掛けず見栄えがするように加工してみようと思います。
ステンレスベルトの加工
弓管の調整
かつての記事で弓管加工について書いています。今回はここまでのことはせずに、さっと削って現物に合わせて、大まかに隙間が少なくなったらOKとしました。
弓管に上・下と記入してから加工します。
上側の弓管は最初からだいたい合っていたので、弓管端部の内側角を落とすだけでピッタリと合ったので良しとします。
下側は少し隙間が大きいですが、この弓管長さとラグ長さは同じくらいなのであまり削るわけにはいきません。もう少し右側のカーブを合わせても良かったかもしれません。適当なところで妥協します。
ラジオペンチなどで弓管を曲げなおして、ラグに合わせます。ラグよりも上に弓管が出ると弓管の側が見えてしまうし、浮いた感じに見えてしまいます。
面一にするか、少しだけ弓管のほうを低くすると見栄えが良くなります。
ヘアライン加工
このベルトは全面ポリッシュ仕上げです。
時計本体(5DX)も同じくベゼルもケースもポリッシュ仕上げなので、ピカピカと少しクドイので、一部をヘアライン仕上げにします。
真ん中の5連をポリッシュ仕上げのまま。側の駒だけをヘアライン仕上げとします。マスキングテープを真ん中5連の境界合わせて貼り付けます。側面もポリッシュ仕上げのままとするのでマスキングテープを貼ります。
#400~600くらいのスポンジヤスリで擦ります。長辺方向に真っ直ぐ動かします。
全面にヘアラインが入ったらOK。マスキングテープを剥がして、反対側も同じようにマスキングして、ヘアライン加工します。
写真が下手で分かりにくいですが、こんな感じになります。元々のポリッシュ仕上げもあまりキレイではなかったので、最初にポリッシュし直しておけばより良い仕上がりになったと思います。
弓管も同じようにマスキングテープを貼って同じようにヘアライン加工をします。
このベルトはDバックル仕様なので、バックル部もヘアライン仕上げしておきます。
ベルト組み立て・完成
元通り組み立てて完成です。
ヘアライン仕上げがアクセントになり、ベタッと奥行のない全面ポリッシュに比べてメリハリがついたと思います。ラグと仕上げが違うので境界が明確になり、特徴的なラグの形状が良く分かるようになります。もちろんこれが正解ではなく、各人の好みで仕上げれば良いのです。大事なのは自分でイメージすることです。何度もシミュレーションして実際に色々なベルトを合わせてみることで経験値も上がり、自分の好みも分かります。他モデルの純正品や社外品のベルトを探すのも楽しいですよ。